インゲン豆
その昔、帰化僧隠元禅師が中国から日本に持ってきたお豆さんであります。別名「三度豆(さんどまめ)」。春から秋にかけて三度に分けて植え付け、三回も収穫できる大変有難いお豆さんです。弦(つる)ありと弦なしの二種類があり、弦ありが収穫量が多い。
我が家では、春になると毎年必ず植え付けて、収穫したさや豆を軽くゆで、酢味噌和えもよし、醬油と鰹節でもよし、また一緒の時期に植え付けて収穫できる万願寺唐辛子やナスと煮つけてもよしと、大変重宝しています。四本も植えれば、一週間で採れる量も結構多く、冷蔵庫に溜まりすぎるぐらいで、野菜の価格高騰時には大変助かります。
この豆の欠点は、30℃超えの真夏には花に実が付かず、落花することです。そのうえ葉ばかり生い茂り、カナブンのお宿と化し一時収穫ができなくなることです。もう一つの欠点は、収量が多いのは有難いのですが、家庭菜園に毎日のように出かけて収穫しなければならず、ずぼらな性格の持ち主にとっては、少々面倒なことです。2,3日ほっておくと、あっという間に実が固くなり調理には向かなくなって、細君からお小言を頂戴することになります。
収穫量を多くするには、とにかくせっせと実を摘んで収穫することです。相手も何とか子孫を残そうと必死で花をさかせ、実をつけ種を作ろうとします。ちょっといじらしいところもありますが、こちらとしてはそこを利用して有難く頂戴するわけです。
キュウリでもナスでもトマトでも、実のなる植物は子孫を残すべくたくさん実をつけますが、これらにはちょっとしたコツがあります。苗が10センチくらいに成長すると、すぐに花芽をつけ実がなります。この実を楽しみにしてはいけません。苗から成長して一等最初にできた花を結実させ種ができてしまうと、その後は実をつける努力を怠ってしまいます。そのため、第1果は絶対に種を作らせないように、実が若いうちに摘み取って、その植物に頑張らないと子孫が残せないと意識させることが大事だと言われます。
インゲン豆は花芽をほっておいてよいのですが、キュウリやトマト、ナスは花芽の数を調節してやって実が付きすぎないようにします。一度にたくさん結実させると、疲れてしまって収穫量全体が減るからです。
とまあ、家庭菜園にもそれなりのコツがあり、上手に収穫できればうれしいのですが、こっちが思うようにばかりは成長してくれません。そこがまた面白いところなのですが。