期日前投票と不在者投票
衆議院選挙の公示日と投票日が決まりました。また、川崎市の市長選挙も同日投票となりました。選挙管理委員会は大忙しのようです。
さて、期日前投票と不在者投票という制度があります。投票日に用事があって投票に行けない人や、仕事や旅行で住んでいる地域以外の場所に出かけている方は、期日前投票や不在者投票ができるとききますが、両者はどう違うのでしょうか。
1.期日前投票
期日前投票とは、選挙人名簿に登録されている市区町村において、選挙期日前に投票期日と概ね同じ方法で投票できる制度です。
選挙期日に、仕事や旅行、冠婚葬祭、出産等によって投票所に行って投票できない方が、選挙期日の公示日又は告示日の翌日から選挙期日の前日まで(土日祝日を含む。)に、選挙人名簿に登録されている市区町村の期日前投票所に行き、所定の宣誓書を提出して、投票用紙を請求、宣誓した事項が確認されると、直接投票函に投票ができます。この場合、お手元に入場券が届いていなくても投票できます。
2.不在者投票
仕事や旅行などで、選挙期間中、選挙人名簿登録地以外の市区町村に滞在している方が、滞在先の市区町村の選挙管理委員会で投票する場合や、指定病院等に入院等している方などが、その施設内で投票できる制度を不在者投票制度といいます。投票することができる期間は、期日前投票と同じです。
この制度を利用するには、選挙人名簿に登録されている市区町村の選挙管理委員会に対して、直接又は郵便等によって投票用紙を請求し、不在者投票事由があると認められると、投票用紙、投票用封筒のほか、不在者投票証明書が交付又は郵送されます。投票用紙が手元に届いたら、それを持って滞在地の市区町村選挙管理委員会へ行き、投票する前に投票用紙、投票用封筒を提示するとともに、不在者投票証明書の入っている封筒を開封しないで提出します。不在者投票記載場所で投票用紙に記入し、まず内封筒を入れて封をし、さらにその内封筒を外封筒に入れて封をして、外封筒の表面に署名をして提出します。これで手続き終了です。
さて、選挙権年齢の「満18歳以上」とは、選挙期日に18歳の誕生日を迎えた人からでしょうか。この方は、旅行や仕事で投票日に投票できないとき、期日前投票や不在者投票はできるのでしょうか。
選挙実務上、選挙期日の翌日に18歳の誕生日を迎える人までが選挙権を有することとされ、今回は10月31日投票日ですから、11月1日に18歳の誕生日を迎える方までが、10月31日に投票できます。(「年齢計算ニ関スル法律」及び大阪高等裁判所「選挙権年齢に関する判決」から)
では、11月1日に18歳の誕生日を迎える方が、選挙期日の当日(10月31日)に用事があって投票に行けない場合は、期日前投票ができるのでしょうか。公職選挙法では、期日前投票については「選挙の当日」ではなく「投票日の当日」選挙権を有することが要件とされており、期日前投票はできません。では、不在者投票はどうでしょうか。不在者投票は、投票日(選挙期日)に投票の受理・不受理が判断されます。そのため、不在者投票をする時点では未だ17歳であっても、選挙期日には要件を満たすことになり、不在者投票が成立することになります。期日前投票が「確定投票」であるのに対して、不在者投票は、選挙期日まで投票が「確定」しないことによる違いによるものです。ところで実際、11月1日生まれで18歳の誕生日を迎える人は、いったい何人いるのでしょうか?
詳しくは、参議院法制局のホームページをご覧ください。