PSA(ピー・エス・エー)について

 PSA(prostate specific antigen 前立腺特異抗原)とは、前立腺がんの腫瘍マーカーのことで、血液検査によって調べることができます。人間ドックでは、通常オプションとして扱われることが多いようですが、最近,前立腺がんの罹患者数が男性の癌のトップになったこともあり、自治体が実施する国保の特定健康診査では、若干の自己負担あるいは無料で検査を受けることができるところもあります。
 因みに、川崎市では「川崎市国民健康保険PSA検査実施要綱」に基づき、50歳以上75歳未満の川崎市国民健康保険の男性被保険者で、特定健康診査受診券を交付された者であれば、400円の自己負担で検査の申し込みができます。ここでは、50歳未満の方や75歳以上の後期高齢者医療制度の対象者は含まれませんので、対象外となった方は自分でかかりつけ医に検査をお願いするなど、別途対応が必要です(自由診療の場合、2000円から3000円程度)。

「前立腺がんは男性特有の病気でしょう。女性は関係ないですよね」と言って、女性の方、この項を読み飛ばさないでください。これはご主人だけの問題ではなく、処置後のご夫婦の生活に直結する病気でもありますので。

 さて、前立腺がんには、以下のような特徴があります。
(その1)
 前立腺がんは、発症まで40年程度かかるといわれ、50歳位から突然急カーブを描いて罹患者(年齢階級別罹患率)が増加し、そのピークは70歳台となっています。そのため、「高齢者がん」とも称されており、私たち団塊の世代にとって脅威となる癌の一つです。1年間で9万人以上が前立腺がんと診断されています(出典:国立がん研究センターがん統計)。
(その2)
 前立腺がんは、自覚症状がほとんどなく、血尿などの症状が出てから医療機関を受診し、前立腺がんと診断された方の5割は、すでにほかの臓器に転移しており、癌はかなり進行していることが多いようです(出典:武田薬品工業のWebサイトから)。
(その3)
 前立腺がんは、男性の部位別がん罹患者数トップではありますが、死亡者数では7位(1.3万人)で、肺がん、胃がん、大腸がん(以上トップ3)などに比較して低く、早期発見、早期治療により命を落とすことは比較的少ないと言われています。自覚症状がなくても定期的に検査を受けることが必要です。

 前立腺がんは、このような特色をもつ癌であるため、早期発見のツールとしてPSA検査は欠かせません。今までこの検査を受けたことのない高齢者は勿論のこと、50歳未満の方であっても是非人間ドック等でオプション追加されることをお勧めします。

 なお、私は医者でも専門家でもありませんので、ここでPSAの検査結果の読み方、前立腺がんの症状、治療方法などを解説することはいたしません。専門医や医療機関のWebサイトなどをご覧になってください。
 また、前立腺がんと既に診断されている方は、前立腺がんの患者の会の一つに「腺友倶楽部」というNPO法人があります。Webで検索してみてください。