歴史は繰り返すのか

 今から91年前の1931年9月8日、満州奉天郊外の南満州鉄道が爆破され、関東軍はこれを張学良の犯行として、軍事行動を起こした。後に柳条湖(りゅうじょうこ)事件と呼ばれるもので、満州事変の発端となった出来事である。これを機に、関東軍は鉄道防衛を理由に軍事行動を拡大し、次々と満州鉄道周辺部から満州全域を制圧していった。
 当時の日本にとって、満州における権益(旅順・大連などの関東州の租借権、旅順~長春間の鉄道(満州鉄道)の租借権等)は日露戦争で多くの犠牲のもと獲得したものであり、国防上の生命線とも考えられていた。この事件は戦後になって関東軍の謀略であることが明らかとなっているが、関東軍は、満州占領の口実を作るため、奉天(現在の瀋陽)の北にある柳条湖近くを走る南満州鉄道の線路を爆破(自作自演)し、中国軍の仕業(テロ)だと断定、鉄道防衛(自衛)のためと称して反撃し、軍事行動を拡大していった。宣戦布告なしの日中両軍の軍事衝突であり、戦争とは言わず事変と呼んでいる。
 その後、関東軍は清朝最後の皇帝であった溥儀を担ぎ出して皇帝(当初は執政)とした満州国を樹立、いわゆる傀儡国家を作った。
関東軍による、これらの一連の侵略行動は、世界各国の信用を得られるはずもなく、その後日本は国際連盟を脱退、ドイツも脱退するに及んで、国際連盟は紛争の調停の場所としての役割を果たせなくなってしまう。

 翻って、現在のロシアとウクライナとの紛争、国際連合の役割などをみるとき、「歴史は繰り返すのか」と、ため息をつかざるをえない。

(注)本ブログを書くにあたって、布施詮著「遥かなる大地」などを参考にさせていただきました。