尊厳死宣言公正証書

 すでに健康寿命も過ぎた団塊世代の男性諸氏は、どうしたら家族に迷惑をかけずにこの世からおさらばできるか、考えているはずです。特に気になるのが終末期における延命治療です。
「回復の見込みのない末期状態に自分がなったときに、生命維持装置を差し控え又は中止して、人として尊厳を保ちつつ死を迎えたい」と思う方々にとっては、判断能力があるうちに、その旨を意思表示しておく必要があり、これが「尊厳死宣言」と言われるものです。
 「尊厳死宣言」に盛り込まれる主な内容は次の通りです。
①死期を延ばすためだけの延命措置は拒否します。
②苦痛緩和措置については、最大限実施を要望します。
③私の家族も尊厳死宣言作成について了解しています。
④この要望に沿ってなされた行為の一切の責任は、私自身にあります。
⑤この宣言は、自分の精神が健全な状態にあるとき作成したもので、自分自身が撤回しない限り、効力を有します。

 この「尊厳死宣言」が、間違いなく本人の意思であることを証明するために、公証役場で文書にしてもらうことができます。公証人は、本人から直接その意思を聴取し、事実実験(五感で確認すること)したうえで公正証書を作成します。これが「尊厳死宣言公正証書」と言われるもので、これを医師等関係者に事前に提示することによって、自己決定権に基づく本人の指示として、より尊重されることになります。
 医師の尊厳死許容率は近年9割を超えるとのアンケート結果(公益財団法人日本尊厳死協会の2018年会員アンケート)もありますので、尊厳死を望まれる方々には、ご検討いただいてもよいのではないかと思います。
 ただし、この「尊厳死宣言公正証書」があるからと言って、必ずその内容通り処置されるとは限らないことにご留意ください。

今回の記事は、日本公証人連合会ホームページ、京橋公証役場ホームページ(尊厳死宣言公正証書サンプル)を参考にしました。