60代からの行政書士受験(3)
敵を知り己を知らば
行政書士試験の問題を作成する先生方は、受験生に何を求めているのでしょうか。行政書士法の規定に基づいて、財団法人行政書士試験研究センターが定めた行政書士試験事務規程の第22条第二項には「試験問題は、次の要件を満たすことをもって行政書士の業務に関し必要な知識及び能力を有すると認めることができるよう作成するものとする。(1)試験科目ごとの得点が、行政書士の業務に関し必要な法令等については満点の50パーセント以上であり、かつ、行政書士の業務に関連する一般知識等については満点の40パーセント以上であること。(2)試験全体の得点が、満点の60パーセント以上であること。(略)」とされ、試験科目については自治省告示(総務省告示)「行政書士試験の施行に関する定め」に「行政書士の業務に関し必要な法令等(憲法、行政法、民放、商法及び基礎法学)、行政書士の業務に関連する一般知識等(政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解)」と定められています。
私なりに解釈すれば、行政書士に求められる知識・能力レベルとは、「広範な法律知識と政治・経済・社会の一般常識を持ち、(役所が定めるガイドラインなどの)文章を理解できる能力を有していること」であり、加えて「(法的三段論法ができる)読解力、判断力、文章表現力があること」と理解しています。なお法的三段論法については、次回説明したいと思います。
試験センターは、300点満点の6割、180点という絶対評価基準を示しています。しかしながら実質的には相対評価で、毎年の合格者数を5~6千人に調整している節があります。その証拠に平成26年度の試験では6割180点の合格点に補正処置を行い、166点を合格点に修正した実績があります。実質相対評価基準となっていることで、毎年問題が難しくなってきています。従って、過去問は受験生としては既知のこととして扱われていると見なければなりません。また、択一式問題での出来不出来を、記述式のところの部分点で最終調整し、結果的に合格者数を調整していると指摘する予備校の先生もいます。
次回は、行政書士に求められる能力について、もう少し述べてみたいと思います。