「終活」しますか?

 つい最近の某週刊誌に「一週間で済ませる人生最後の手続き」という特集記事が載っていました。「一週間」とは乱暴な表現ですが、購読者にアピールするには十分なタイトルでしょう。人生の終わりを迎える準備が何一つできていなかった家族間の争いごとを扱った記事から始まっており、そろそろ後期高齢者に入ろうとする団塊の世代の私にとっては、手に取って読みたくなる内容でした。
 さて、日本人の健康寿命と平均寿命をご存知ですか? 健康寿命とは「介護などが必要なく何歳まで健康で生きられるか」をみた年齢であり、男性が72.14歳、女性が74.79歳です(2016年厚労省調べ)。一方、平均寿命とは「何歳まで生きられるか」をみた年齢で男性が81.64歳、女性が87.74歳です(厚労省「令和2年簡易生命表の概要」)。健康寿命と平均寿命の差の10~14年間は、自宅であれ介護施設であれ、家族やヘルパーさんにお世話をしていただきながら、余生を暮らしている期間となります。
「自分は百歳まで生きる。終活など先のこと!」と思って放置している方が多いように思います。とりあえず今元気なら、死ぬまでのことを準備万端整えようなどとは、よほどの事情がない限り思わないでしょうし、思いたくもありません。それが普通の人の考えでしょう。
 しかし、健康寿命をすぎれば、いつ介護が必要になるかわかりません。実際、介護が必要になってからでは自分の体調を整えることで精一杯で、とても終活など、小難しいことを考える余裕はなくなっているはずです。いざ、ことが起こって、終活準備をしてこなかったことを悔やむことがあったなら、それは残された家族への「負の遺産」となってしまいます。終活はそれぞれの家庭の家族構成や諸事情によって千差万別です。これだけやっておけば良い、といった絶対的なものはありません。下表で終活として検討しておくべき事項を一覧にまとめてみました。「我が家ではどれだけのことをやっておけばよいのか?」とお考えになったら、市役所等で開催されている無料相談会などでご相談されてはどうでしょう。勿論、平均寿命の長い奥様ご同伴で!

終活一覧

ステージ制度・契約等
Ⅰ.健康寿命までにエンディングノートの作成
遺言書の作成
尊厳死宣言公正証書の作成
家族信託契約書の作成
相続税対策(生前贈与、生命保険など)
お墓の準備
Ⅱ.意思判断能力が減退してきたら財産管理事務委任契約
任意後見契約
生前事務委任契約
 (見守り)
 (入院)
 (身元引受保証)
死後事務委任契約の作成
Ⅲ.意思判断能力を喪失したら成年後見制度の適用
Ⅳ.相続開始以降(遺言執行)
(死後事務委任契約の適用)