75歳になったら何が変わる

 来年(2022年)には、団塊の世代(昭和22年~24年生まれ)が満75歳となり後期高齢者いりしてきます。75歳になったら何が変わるのでしょうか。

1.公的医療保険制度の変更

(1)後期高齢者医療保険制度への加入

 ほとんどの方は、満70歳から満74歳までは、前期高齢者として国民健康保険か被用者保険(組合管掌健康保険など)に加入していますが、満75歳になると従前の国民健康保険や被用者保険から離れて、都道府県単位の広域連合で運営する「後期高齢者医療保険制度」に加入することになります(障害をもつ高齢者は満65歳から)。これは誰もが加入を義務付けられる公的な保険です。
 今まで、夫・妻ともに国民健康保険の加入者であった場合、夫が満75歳になると自動的に「後期高齢者医療保険制度」に加入し、妻は満75歳になるまでは、そのまま国民健康保険を継続します。加入や脱退の手続きは不要です。

(2)支払保険料と医療費の自己負担割合

 支払保険料は、被保険者全員が等しく負担する「均等割り額」と、被保険者の所得に応じて負担する「所得割り額」を合計して、個人単位で計算します。保険料の納付は、原則として年金からの天引き(特別徴収)となります。
 医療先窓口での自己負担割合は、同一世帯の「後期高齢者医療制度」の被保険者全員の住民税課税所得がいずれも145万円未満であれば、1割負担となります。それ以外は、現役並み所得者として、原則3割負担となります。なお、令和4年度後半から、今まで1割負担であった方も、収入金額により2割負担となるなど、自己負担割合が増加する制度変更が決まっています。

(3)高額療養費の限度額

 「後期高齢者医療制度」においても、高額療養費制度があります。1か月の治療費が高額となったとき、窓口負担1割の方は、病院・薬局の窓口で支払った金額が18,000円を上限として、これ以上の金額について負担した場合は、払戻しを受けることができます。これは月ごとに計算され、翌月への繰り越しはありません。
 高額な医療費の支出があったときや予定される場合は、早めに医療機関に所属するソーシャル・ワーカー、市役所・区役所の保険担当課、又は保険証に「保険者名」として記載されている「後期高齢者医療広域連合」の連絡先にお問い合わせください。

2.自動車運転免許証更新時における認知機能検査の実施

 自動車運転免許証の更新期間満了日(誕生日の1か月後の日)の年齢が満75歳以上の人は、免許証更新手続き前に「認知機能検査」の受検と「高齢者講習」を受講する必要があります。「高齢者講習」は、70歳になって免許更新の時に既に受けていますが、「認知機能検査」は、満75歳になってから初めて受検することになります。
 「認知機能検査」は、記憶力や判断力の判定を内容として行われるもので、①時間の見当識②手がかり再生③時計描写の三つで構成され、手がかり再生の試験の前に、ちょっとした記憶にバイアスをかける問題が出されますが、これは試験結果とは無関係のようです。健常者でも難しいといわれるのが「手がかり再生」の問題です。トランプの神経衰弱と似たようなものですが、初めてこの検査を受け、パニックにならないよう、Webで試験問題を見ておくのもよいかと。
 「認知機能検査受検通知書」(はがき)が届いたら、早めに運転免許センターか、お近くの自動車教習所に予約を入れましょう。検査時間は約30分で手数料が750円必要です。
 試験の結果によって、「記憶力・判断力に心配はありません」(第三分類)と判定され、その結果通知が送られてきた方は、「高齢者講習」の2時間コース(5100円)を受けることになりますので、改めて自動車教習所等に受講を申し込んでください。
 一方、「記憶力・判断力が少し低くなっています」(第二分類)又は「記憶力・判断力が低くなってきます」(第一分類)と判定された方は、「高齢者講習」の3時間コース(7950円)を受講することになります。なお、第一分類と判定された方は、医師の診断書が必要となることもあります。
 「認知機能検査」と「高齢者講習」の両方が終わってから、ようやく免許更新手続きの開始となります。高齢者は楽ではありませんね。

令和4年5月13日以降75歳以上の免許更新手続きについて(制度改正)

 以下の3点が改正されます。詳しくは警視庁等のホームページをご覧ください。

1.認知機能検査の検査方法の変更
2.高齢者講習の一元化
3.運転技能検査の新設

免許手続きの経過措置について

 道路交通法改正の施行日(令和4年5月13日)から起算して6か月経過した日(令和4年11月13日)を「基準日」とし、有効期間の満了日が「基準日より前」か「基準日以後(基準日を含む)」かで、旧法・新法のどちらが適用されるか決まります。ただし、令和4年11月13日は日曜日であるため、有効期間が繰り延べられ、実質的には有効期間の満了日が令和4年11月14日(月)以後であるかで判断されます。

・有効期間の満了日が基準日より前のとき
①運転技能検査なし
②認知機能検査を高齢者講習より先に受ける
③診断書等による認知機能検査の免除なし
 となっています。以上は通常の更新の場合

・有効期間の満了日が基準日以後の場合
①運転技能検査あり
②認知機能検査と高齢者講習の順番が自由
③診断書等による認知機能検査の免除あり
④基準日より前の申請でも、基準日より後の申請でも同じ

 以上、満75歳以上の方の免許更新手続き改正の概略を記しましたが、そのほか手数料の改定などありますので、対象となる方は警視庁等のホームページなどをご覧ください。